定番商品で売上アップ!ギルティ飯・増量での差別化戦略|市場トレンドで顧客を掴む秘訣

ギルティ飯、背徳飯、増量で消費者の心と胃袋を掴む差別化戦略で売上アップ!串カツ横綱の「名物MEGA盛り」。焼きそば、オムライスなどのメニューで、最大、通常の20倍のボリュームで原寸大の食品サンプルとPOPでの訴求は通行人を惹きつける

【記事の概要】
 集客・売上アップのキーワードは「ギルティ」「背徳」「増量」「メガ盛り」!
 現代の消費者は、単なる満腹感を超え、「お得感」と「非日常的な満足感」を求める傾向が強く、コンビニ、ファストフード、ファミレスや宅配ピザの各社は、このニーズに応えるキャンペーンで成功を収めています。これは、価格を維持しながら売上を確保し、食品ロス削減と集客効果を最大化しつつ、競合との差別化を実現する戦略です。また、「ギルティ飯」「背徳飯」といった高カロリーながらも魅力的なグルメが新たなトレンドとして台頭しています。プリマハムの「ギルティソーセージ」やピザハットの「ラーメンピザ」のように、定番商品に意外な組み合わせやボリューム感を加えることで、話題性が生まれ、新規顧客獲得やリピート促進につながります。

この記事の目次

顧客の心をつかむ!食のトレンド最前線

 現代の消費者は、単に空腹を満たすだけでなく、食を通じて「心の満足感」や「非日常体験」を求める傾向が強まっています。

特に近年、「ギルティ飯」「背徳飯」と呼ばれる、高カロリーでありながらも抗いがたい魅力を持つグルメが注目を集め、コンビニエンスストアから専門飲食店に至るまで、様々な業態でその市場を拡大しています。

同時に、コンビニ各社が積極的に展開する「増量キャンペーン」は、お得感を求める消費者の心を掴み、売上と顧客エンゲージメントの向上に貢献しています。

本稿では、これらの市場の潮流を具体的な事例と共に深掘りし、店舗経営者の皆様が今後の商品開発やマーケティング戦略を検討する上で役立つヒントを提供します。

コンビニエンスストア各社の増量キャンペーンから見る市場の動向

 セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートといった大手コンビニエンスストアは、定期的に「増量祭」「盛りすぎチャレンジ」「たぶん40%増量作戦」などのキャンペーンを実施し、消費者の購買意欲を刺激しています。

これらのキャンペーンは、単に商品の量を増やすだけでなく、消費者にお得感を提供し、来店頻度を高める効果的な戦略として機能しています。

  • セブン-イレブン「おかかたっぷり明太のり弁当」: 白身フライが1枚増量され、マカロニサラダも1.8倍になるなど、主食から副菜まで多岐にわたる商品で増量が行われています。これにより、顧客は通常価格でより多くの満足感を得られ、購買の決め手となっています。
  • ローソン「盛りすぎチャレンジ」: 過去に最大41品もの商品を増量対象とし、2023年2月、2024年2月・6月、2025年2月と定期的に実施されています。これにより、幅広い層からの支持を獲得し、キャンペーンのたびに大きな話題となっています。
  • ファミリーマート「たぶん40%増量作戦」: 明太海苔弁当をはじめとする全12商品が週替わりで登場し、飽きさせない工夫が凝らされています。惣菜だけでなく、主食の増量も行われることで、食事全体のボリュームと満足度が向上し、リピート購入に繋がっています。

これらの増量キャンペーンは、単に価格競争に巻き込まれることなく、商品の付加価値を高めることで売上を維持・向上させるという、コンビニ各社の巧妙な戦略の一端を示しています。

増量キャンペーンがもたらす多角的なメリット

 増量キャンペーンは、店舗経営者にとって多くのメリットをもたらします。

  • 売上維持と利益向上: 商品の販売価格を据え置いたまま増量することで、価格競争に陥ることなく、顧客に「お得感」を提供できます。また、大量仕入れによるコスト削減が可能となり、結果的に利益率の向上につながります
  • 食品ロス削減: 特に中小規模の飲食店では、増量キャンペーンは仕込んだ食材を鮮度が落ちる前に売り切る有効な手段となります。これにより、廃棄ロスを削減し、経営の効率化に貢献します。
  • 集客効果と競合対策: 「増量」「メガ盛り」「富士山盛り」という直接的で分かりやすい訴求は、新規顧客の獲得はもちろん、既存顧客のリピート購入を促し、店舗全体の客数増加に寄与します。競合他社との差別化を図り、競争優位性を確立する上で強力な武器となり、SNSでの拡散も期待でき、より広範囲への認知拡大にもつながります。

これらのメリットを最大限に活かすことで、増量キャンペーンは単なる販促活動に留まらず、売上向上、コスト削減、食品ロス削減、そして効果的な競合対策といった多角的なビジネス課題を解決する強力な戦略となり得ます。

「ギルティ飯」「背徳飯」が拓く新たな市場

 近年、消費者の間で「多少の罪悪感はありつつも、心ゆくまで欲求を満たしたい」「日常の小さなご褒美として、背徳感のあるグルメを楽しみたい」というニーズが急速に高まっています。

ストレスの多い現代社会において、手軽に非日常的な満足感を得られる「ギルティ飯」「背徳飯」は、新たな食のトレンドとして確立されつつあります。

2025年現在、大手食品メーカーや外食チェーンだけでなく、個性的なラーメン店や専門店もこの市場の可能性に着目し、独創的な新商品を続々と投入しています。これらの成功事例から、店舗経営者の皆様が今後の商品開発やマーケティング戦略を検討する上で、重要なヒントが得られるはずです。

各社の戦略と狙いに見るヒント

1. プリマハムの「ギルティソーセージ~ガーリックバターチーズ~」

  • 狙い: 既存のソーセージに、高カロリーながらも中毒性のある「ガーリック」「バター」「チーズ」という強力な組み合わせを付加することで、従来の顧客層に加え、「背徳感」を求める新たな層へのアプローチを試みています。
  • ヒント: 定番商品に、トレンドのキーワードとなる要素を掛け合わせることで、新たな価値を創造する可能性を秘めています。SNSでの話題性を意識したネーミングやパッケージも、消費者の目を引く重要な要素となるでしょう。

2. ピザハットの「豚ハット 濃厚背脂醤油ラーメンピザ」と「ガーリックたっぷりギルティ裏メニュー」、「【飲めるピザ】あふれるチーズとオマールソース MY BOX」

  • 狙い: 「ラーメン×ピザ」という斬新な組み合わせや、ニンニク、背脂といったパンチの効いた食材を大胆に使用することで、消費者の好奇心を刺激し、強いインパクトを与えています。また、パーソナルサイズのメニュー展開により、個人の「ギルティ欲」にも柔軟に応えています。
  • ヒント: これまでの常識にとらわれない、枠を超えた発想の商品開発は、大きな話題と集客に繋がる可能性があります。期間限定や数量限定とすることで、希少性を演出し、購買意欲をさらに高めることも有効な戦略です。

3. 餃子の王将の「極王天津飯」

  • 狙い: 定番の天津飯に、特製のふわとろ玉子を通常の1.5倍使用し、さらに餡を濃厚かつ複雑な味わいに仕上げることで、上質でありながらも満足感の高い「背徳感」を提供しています。特に「極王」という冠をつけることで、既存のメニューとは一線を画す「特別な一品」としての位置づけを明確にし、幅広い層からの支持を得ています。
  • ヒント: 既存の人気メニューをベースに、「増量」「豪華」「プレミアム」といった要素を強調することで、新たな顧客層を引きつけることができます。特定のターゲット層(例:若年層、男性客)に響くようなネーミングや食材の組み合わせも有効です。

4. 日本一の串カツ横綱の「名物MEGA盛り」

  • 狙い: 焼きそば、オムライスや揚げたこ焼きなどのメニューで、最大、通常サイズの20倍にもなる圧倒的なボリュームを提供する「MEGA盛り」は、視覚的なインパクトと完食した時の達成感で、特に大食いを好む層やグループ客に強い支持を得ています。本稿の写真の通り原寸大の食品サンプルとPOPでの訴求はとてもインパクトがあり、通行人を惹きつけます。写真映えもするため、SNSでの拡散性が非常に高く、店舗の看板メニューとして集客の目玉となります。例えば、丼物や定食のご飯、おかずの量を極限まで増量することで、「ギルティ」な魅力を最大限に引き出し、遠方からの来店客を呼び込むことに成功しています。
  • ヒント: ただ量を増やすだけでなく、完食者への特典や、SNSでのハッシュタグキャンペーンなどと組み合わせることで、顧客の参加意識を高め、より強力な集客ツールとして機能させることができます。

今後の店舗経営への応用

 これらの事例を踏まえ、店舗経営者の皆様は以下の点を考慮してみてはいかがでしょうか。

1. 顧客ニーズの再考
 既存顧客だけでなく、新たなトレンドに敏感な層が「ギルティ飯」「背徳飯」にどのような価値を求めているのかを深く掘り下げ、分析することが重要です。単なる満腹感だけでなく、視覚的なインパクトやストーリー性も顧客体験の一部と捉えましょう。

2. 商品開発の視点
 既存メニューに「背徳感」をプラスする要素(例:チーズ増量、特製ソース、揚げ物追加)を取り入れたり、全く新しいコンセプトの「ギルティ飯」メニューを開発したりすることが考えられます。他業種や異ジャンルの要素を組み合わせる「異種格闘技戦」的な発想も有効です。

3. マーケティング戦略の強化
 SNSを活用した情報発信やキャンペーン展開は必須です#ギルティ飯」「#背徳グルメ」「#ギガ盛り」といったハッシュタグを積極的に活用し、消費者の共感を呼び、来店を促進しましょう。大食いチャレンジの開催やインフルエンサーとのコラボレーションも効果的です。

4. 期間限定・数量限定
 イベントや季節に合わせて、「特別な背徳感」を提供する限定メニューを開発することは、顧客の再来店を促し、新規顧客の獲得につながります。限定感を演出することで、顧客の期待感を高め、購買意欲を刺激します。

時代の波に乗り、罪悪感さえも喜びに変え、選ばれる店になろう

 「ギルティ飯」「背徳飯」市場は、現代の消費者の複雑な心理と多様なニーズを捉え、今後もさらなる成長が期待される分野です。同時に、定番化した「増量キャンペーン」も、顧客満足度を高め、売上を維持・向上させるための強力なツールであり続けています。

これらの市場の潮流をいち早く捉え、消費者の心に響く商品や体験を提供することで、競合との差別化を図り、新たなビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。あなたの店舗が提供する「ギルティな喜び」が、顧客の日常に彩りと刺激を与え、リピートにつながる強力な武器となることを願っています。

これらのトレンドを活用して、あなたの店舗の魅力を最大限に引き出すことにチャレンジしてください。

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