【記事の概要】
現代のリーダーに不可欠な「共感力」
令和のリーダーシップには、能力・人間性・一貫性に加え、コミュニケーション力が不可欠です。部下に「愛情」を感じさせる表現力が鍵ですが、苦手でも「共感」を示すことで「理解されている」と伝わります。共感は甘やかしではなく、人間関係を築き、チームを動かす原動力。相手を完全に理解できなくても、耳を傾け寄り添う姿勢が、部下が自ら動き出すきっかけになります。今日から実践し、チームの成果と従業員満足度を高める新時代のリーダーを目指しましょう。
令和のリーダーシップ、次なる一手:信頼と成果を引き出す「共感力」の極意
「パワハラと言われたくない」「部下との距離感に悩む」そんな店長・経営者の皆さん。
前回は、令和のリーダーに不可欠な「能力」「人間性」「一貫性」について掘り下げて解説した。中でも、部下との信頼関係を築く上で重要なのが「人間性」、そして、特にその表現力が重要。
しかし、「愛情表現が苦手」「どう接したらいいか分からない」と感じる方もいるかもしれない。
そこで今回は、部下との信頼を深め、チームを動かすための「共感力」に焦点を当てて解説しよう。
感情移入とは違う、あなた自身のためにもなる実践的な共感のコツを掴み、店舗の生産性と従業員の満足度を同時に高める新時代のリーダーシップを身につけよう。
部下が本当に求めているもの:令和のリーダーに不可欠な「共感」の力
令和時代のリーダーには、「能力」「人間性」「一貫性」のすべてが求められるが、中でも重要なのは「能力」、そしてその核となる「コミュニケーション力」だと思う。
前回述べたように、部下が「自分を気にかけてくれている」「ちゃんと考えてくれている」と感じる「愛情」は、上司と部下の人間関係においてとても重要だ。でも、ここが難しいと感じるかもしれない。「愛情ってどう表現すればいいんだ?」と。
実は、仕事の場面での人間性は、その多くが表現力が大きく影響する。「俺のことを考えてくれてる」と部下が感じるかどうかも、結局は、あなたが部下にどう伝えるかにかかっている。
表現するのが得意なリーダーは、愛情が少々足りなくても、部下にそう思ってもらえる。逆に、表現が下手なリーダーは、損をしてしまう。
これって、「まさに俺のことだ!」と感じる読者もいるんじゃないかな。
でも、難しく考える必要はなくて、要は、「共感」すればいいこと。
部下は共感を待っている:リーダー自身のためにも部下の話に耳を傾けよう
「もう少し俺の気持ちも分かれよ」と、つい部下に言ってしまいそうになるのをグッと我慢して、今度はこっちが部下のレベルに下りていって共感することだ。
訂正したり、是正とかしなくていい。彼らがワーワー言うのに対して、「そうか。大変だな」と聞いてあげるだけでいい。昔からよく言われる「男と女の違い」の話、あれと一緒。
女が男に職場の愚痴とか仕事の悩みとかを話す。男はそれに対し、「それはこうでこうで。こうしたらいい」と解決策を示す。でも、女のほうは別に解決策が欲しいんじゃなくて、ただ聞いてくれるだけが一番嬉しいんだよね。
共感も一緒なんだ。部下たちは是正されたいんじゃない。ただニコッとしながら、「わかる。俺の時も似たようなことあったわ」とか言って聞いてあげればいい。そしたら彼らは、「俺のことを分かってくれた」ってなるから。
もう一つ大切なことを言うと、共感は相手の気持ちを本当に分かる必要はない。共感と感情移入は違う。下手に感情移入して余計なことをして「ハラスメントだ!」みたいに思われてもしょうがないしね。
第一、そこまでやってると時間外労働になりますよ。時間外労働の上限規制が適用になる現代では感情移入している暇はないはずだ。
まあ、でも、私はそっちの心配はしていない。「いちいち部下の愚痴聞いてて仕事が回るか!」ってなるだろうからね。
けど、逆に言うと、そこがこれからの時代における変えどころだと思う。
共感しよう。話を聞いてあげてもすぐに解決にならないのは分かってる。けど、そこは考え方次第だ。心理カウンセリングじゃないんだから、共感するのは部下のためじゃなく自分のためだ。
最初は「俺がリーダーシップを発揮する時に、部下がスムーズに動いてくれるようにするための共感」というくらいの気持ちでもいい。
実際私の経験でも、日頃から共感する姿勢を見せておくと、いざという時に部下がスムーズに動いてくれる。
有名な勘違いで、「情けは人のためならず」という諺は「情けをかけて甘やかすとその人のためにならない」と思われがちだが、本当は「自分が不憫な状況に陥った時に周りから助けてもらえるよう、周囲の人に情けをかけておく」という意味だという。
あれと一緒だよ。「情けは部下のためならず。共感は部下のためならず」なんだ。
ちなみに人材開発のプロは共感を「変化促進」に利用するが、私たちはそこまでやる必要はない。
その代わりに、相手を受容して共感して話を聞いたうえで、最後のほうで、「もしかして、こうやればいいんじゃない?」ぐらいに、相手が気づくように、少しヒントを仄めかしてあげるといい。それが相手を動かすテッパンのやり方だ。
一通り愚痴を聞いてあげて、スッキリしたところで、最後のほうで軽く刺激してあげる。そしたら相手はちゃんと気づくんだよね。まるで自分で打開策を見つけたかのように。
そう思わせることで、行動に移しやすくなるんだ、と思うけどね。
共感こそが、人間関係を構築し、チームを動かす原動力
「共感」は、部下を甘やかすことでも、時間を無駄にすることでもない。むしろ、リーダーシップを発揮しやすい土壌を耕し、チーム全体の生産性を高めるための未来への投資だ。
部下の話に耳を傾け、共感する姿勢を見せることで、彼らは「自分は理解されている」「このリーダーは自分を気にかけてくれている」と感じる。
それが、いざという時に部下が自ら動き、期待を超える成果を出す原動力となる。
さあ今からでも、部下の「共感を求めている」声に耳を傾けてみよう。
